留学体験談

博士課程で国際安全保障学について研究

峯畑 昌道さん

峯畑 昌道さん

beoの留学サポートを利用され、ブラッドフォード大学の博士課程で国際安全保障学について研究をおこなわれている峯畑さん。渡英から約4年が経ち、つい先日には、beoで開催されたブラッドフォード大学のイベントに教授陣に並ぶゲストとして個別相談会やレクチャーにご参加いただきました。 今回はそんな峯畑さんに、留学当初を振り返っていただいてお話をお聞きします。

【前編】 戦争と平和に関する専門家を多く抱える大学への留学を希望

留学を決意されたきっかけを教えてください
アメリカ世界同時多発テロ9・11に遭遇
日本での学部生時代は国際安全保障に漠然とした関心を持っておりましたが、アメリカ留学中に経験した2001年9月11日世界同時多発テロがその漠然と抱いていた雑多な関心事を一本の線で結び、留学への直接的な道筋をつけたと記憶しております。ここで雑多と申し上げる関心事は4点ございました。

  1. テロの脅威
  2. グローバル化する世界における国家の中心性
  3. 科学技術の不正利用
  4. グローバルイシューを抱合しうる安全保障の枠組の検討

1. テロの脅威
1点目は、航空機を使用した世界貿易センタービルへの破壊、また(テロの疑いのある)炭素菌送付という劇場型の暴力行為により、政治・経済・安全保障上の深刻な脅威を非国家主体が与えうることを再確認いたしました。テロの懸念が世界的に伝播しうる情報源、ネットワークを媒介した非国家主体による脅威であった点が、グローバル化が加速する冷戦後安全保障問題の顕在例として特に印象深かったと記憶しています。

2. グローバル化する世界における国家の中心性
2点目は、多国籍企業、IGO、NGOの役割が相対的に増大しているという言説が多く見受けられた冷戦後の国際社会において、安全保障に関しては、依然決定的な影響力を行使する国家の中心性です。

ブラッドフォード大学平和学

テロの脅威を確認した後の国家安全保障政策の決定速度、深度、そしてテロとの戦争への加熱度は、アメリカという外国に身を置く一学生としては、それもまた、脅威「的」であり、個人の存在を極小化し社会を止まらない方向へ動員する時代の流れ、その渦中に身を置く悪寒というものを覚えた記憶がございます。

後に、上述した炭素菌テロに関しては、テロで使用されたと考えられていた炭素菌の出所が、米陸軍関連の研究所であると米FBIに懸念され、生物安全保障の脅威認識の文脈に少なからず波紋を投げかけています。

3. 科学技術の不正利用
3点目は、科学の不正利用です。世界同時多発テロで使用された手段は民間旅客機、そしてテロの懸念がもたれた炭素菌でした。前者は航空力学、後者は生物学というように、本来は平和利用を目的に発展した科学知識・技術であることが確認できます。国家による核兵器と核エネルギー使用の関係を安全保障の問題として学習していたことから、9・11を通じて再認識させられたことは次の点です。"それぞれの時代において、当該科学分野が最先端であればあるほど、普及の度合いが高ければ高いほど、科学技術はその不正利用の潜在的脅威を伴っている可能性がある。"

4. グローバルイシューを抱合しうる安全保障の枠組の検討
上記3点を踏まえ、4点目は、冷戦後の世界安全保障における非伝統的な脅威を射程に入れ、国家の理性・中心性を保ちつつ非国家主体との共治により、テロと国家の両者による最先端科学技術の悪用を予防するため安全保障上の枠組みを検討する必要があると考えました。これを検討するためには、異なる分野の観点から問題を説明し、その解決案を考察する学問を学べることが望ましいと考えました。平和学は広い学問分野を横断的に利用する、学際的なアプローチを取るということを知り、それが一つのヒントになりました。私が学部生であった当時、日本ではそのような学習環境が少ないという印象を持ち、留学を決めました。


ブラッドフォード大学を選ばれた理由を教えてください
社会科学と自然科学の両面からのアプローチ
上記で述べましたように、非常に漠然とした関心を持っておりましたので、まず、戦争と平和に関して異なる分野の専門家をなるべく多く抱えている大学が望ましいと考えました。

私の場合は特に、国際安全保障、国際法、軍縮・軍備管理を社会科学分野において、 同時に科学技術の進歩を環境、国際公衆衛生そして安全保障の観点から考察する自然科学分野の視点も学べれば理想的であると考えました。

そのような関心に近い研究を行われている教授がなるべく多く在籍している大学を希望いたしました。グローバルガバナンス、テロ、環境、核兵器といった広い分野の研究を行っているブラッドフォード大学教授の文献を講読する勉強会に日本で参加したことを機会に、本大学を選びました。

beoの留学サポートを利用された感想を教えてください
出願準備を始めたのが遅かったものの無事留学を実現
とにかく大きなご支援を頂戴いたしました。出願が遅い時期になってしまい、手続き準備が間に合うか非常に不安でございました。しかしながら、そのような事情を汲み取り、可能な限り柔軟に、そして何より迅速に対応していただきました。バックグラウンドの異なる多くの出願者を輩出された経験の賜物であると理解いたしました。